巨門星のトリセツ: シリーズ紫微斗数14主星 その10
名称 | 巨門星のトリセツ: シリーズ紫微斗数14主星 その10 |
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出版社 | ほしよみbooks |
発売日 | 2024/2/11 |
定価 | 紙本版:1,540円(税込) Kindle版:800円(税込) Unlimited: 0円 |
購入URL | Amazon |
著者 | 中島多加仁 |
シリーズの出版企画に際して
本書は『シリーズ紫微斗数14主星』の第10弾、巨門星の取扱説明書になります。
紫微斗数の14主星は『吉凶がない』と考えますが、じつはこの巨門は廉貞と並んでトップクラスの凶要素を含んでいます。先の廉貞は空気が読めない性質で、じぶんの欠点を棚に上げて他者を非難したり、問題を環境のせいにしたりします。しかし巨門は、どちらかというと逆で、悪い意味で空気を読んでしまい、問題が起こると「じぶんのせいではないか」といった感情が湧きます。つまり廉貞と違って自己肯定感が低いのです。ともに陰性の気質を根強く持ちますが、火性と水性の違いが、そのように現れるわけです。
廉貞も巨門も、嫌われやすい星ですが、その理由は正反対なのです。ずうずうしい廉貞と、おじけづいて引っ込み思案になる巨門。両者はある種の魅力があるけれど、独特な嫌味を含んでいるのです。廉貞は紫微に、巨門は太陽に憧れます。ともにカリスマになろうと野望を抱き、特殊な世界での深掘りを好みます。その野心は内に秘めており、紫微や太陽のように外に出すことはありませんが、周囲にはバレバレ。でも当の本人は「じぶんは思慮深いので誰にもバレていない」と過大評価しているのです。
巨門は『巨大な門』という意味もあります。門とは入口と出口です。そもそも巨門とは『用水路』という意味でもあります。暗く、湿った地下から夜空を見上げているのです。もちろん夜空には輝く星たちが見えます。暗という存在は、けして悪いことではありません。星は暗いから輝いてみえるのです。つまり巨門は、暗い場所でありながら、他の星たちの輝きを引き立たせる役割を担っているのです。
巨には「巨人」「巨大」「巨額」「巨万」「巨富」といったサイズ感を示すだけでなく、「巨星」「巨匠」というように「すぐれた」「偉大な」といった意味もあります。また「きょ」という読みが一般的ですが、「こ」と読むのは古い地名の「巨勢」と、「巨旦」という伝説上の人物が有名です。
巨門は別名『口舌の星』というだけあり、皮肉や嫌みを言わせたら天下一品。かなりネチネチとした言い方をするので、周囲からの評価も極端に分かれます。
紫微斗数を覚えるとき、『封神演義』の関係を話すことがよくあります。今回の巨門星は、太公望(姜子牙)の元嫁です。そもそも太公望の妻になった女性ですから、なかなか先見の明があるわけです。太公望の才能を見染めており、しかも太公望は軍師にスカウトされるまでは極貧でした。そんな、なかなか芽のでない夫に愛想をつかせ、彼が軍師になる前に離婚してしまったのです。
彼女の名は馬千金で、書物ばかりを読みロクに働かない夫を見て悪態をついて離縁しました。しかし文王に見出され、殷を滅ぼす立役者となって最終的に周の宰相にまでなり、馬千金は離縁したことを深く後悔しました。そして復縁を迫ったのですが、姜子牙は水の入った盆をひっくり返し、「この水がもとに戻ったら復縁しても良い」と言ったのです。これが「覆水盆に返らず」という有名な言葉として残っています。
つまり巨門は、才能を見抜く眼力はあるが、それ以上に猜疑心も強いのです。軍師になって大出世した元夫に再婚を申し込みますが、あっけなく振られてしまい、それを大いに悲しんで自害しました。
巨門という星は、影での才能はあるものの、なかなか表舞台での活躍というのは苦手で、これからというときにチャンスを棒に振ってしまうわけです。
他のアダ名としては「研究者の星」とか「オタクの星」という呼び名があります。器用なところがあり、複数のことを同時に考えられるのですが、心から興味があるのは多くて3つまで。また、アングラといいますか、マニアックな分野に惹かれる傾向があります。
ただ、興味のない分野に関して競争心は湧きません。それどころか嫌いな分野に携わるひとに対しては、持ち前の弁舌でこき下ろしたりするので、それが原因でトラブルを引き起こすことも多いのです。好き嫌いの基準として、集中力のないぼんやりした人間を見下します。
持続的な集中力はなく、ひとつの分野にあまり長い時間没頭することはできません。うまくいかなかったり、ストレスを感じると頭が他の方にそれてしまい、別のことをはじめたりします。
そうやって、いろいろ手を出すうちに、ほんとうに好きなことを見つけて、それにのめり込みます。のめり込んだ巨門の集中力は、狂気を感じるほど恐いもの。他の分野には目もくれず、寝食を忘れて没頭するでしょう。ゆえに奇才・天才を多く輩出しています。
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