医者でも弁護士でもないのになぜ占い師を『先生』と呼ぶのか/コラム

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医者でも弁護士でもないのになぜ占い師を『先生』と呼ぶのか

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 占い師は、先生と呼ばれますよね。どうして占い師は、医者でも弁護士でもないのに呼称が『先生』なのでしょうか?答えから言うと、これは、ある種の【演出】というわけです。とはいえど、お客さまを騙そうとしているわけではありません。


 占いのお客さん、つまり相談者は家族や友人に知られたくないけどじぶんでは解決できない、そういう悩みを抱えているので占い師に相談するわけです。そのため相談者は、占い師に『権威』を求めるのです。ですから「先生」と呼ぶことで「この人なら問題を解決してくれるかも」といった期待値が高まるのです。


 先生ではなく「さん」だと、一般的な上司や先輩と変わりません。だから賢い相談者は、占い師を持ち上げるためにみずから「先生」と呼ぶわけです。一種のプラシーボ効果を期待しているわけです。


 ベテラン占い師は、この理屈をよく知っています。なのでプロの占い師は、他の占い師のことを先生と呼んだりしませんし、同格の占い師からじぶんが先生と呼ばれたら、「あらやだ。私はあなたの先生じゃありませんからサン付けで呼んでくださいね」と、スマートに切り返す。

 その自然なそぶりが、また器を大きく見せるわけです。しかし、成り立て占い師は、その理由を知らぬまま自分が偉くなったような錯覚に陥ってしまうこともしばしば。

 そもそも先生の由来は『先に生まれた人』という意味です。論語にもある孔子の言葉「後生畏るべし」の後生(コウセイ)の対です。そこから、学芸の優れた人を指し、政治家、弁護士、医者、教師、芸術家、作家、美容家などの偉い人や優れた人を尊敬するため用いるようになりました。

 占い師が先生と呼ばれるのはあくまでも相談者からです。また、運営側もあえて先生と呼称しますが、それには理由があります。「相談者に対してちゃんと責任を持って高尚な鑑定をしてくださいね」「あなたは先生なのだから素人のような発言はしないでくださいね」という意味合いが、込められているわけです。

 中には、先生と呼ばれることを嫌がる占い師もいます。なぜなら「先生」と呼ばれることで感覚が麻痺して慢心してしまうことを警戒するからです。これは、学校の教師・教員がそうなっている事象があるからです。

 学校の教職員は、いわゆる公務員なので、本質的な「先生」ではありません。しかし、幼い子どもややんちゃな未成年を指導するので権威性を持たせる「先生」という呼称は、それなりの効果があります。とはいえ、裏では、呼び捨て・あだ名・チャン付けが横行していますよね。それが教育現場の実態。心から、本当に尊敬されているわけではないからね。

 だから、弁護士でも医師でもないたんなる一介の占い師風情が先生などと呼ばれるのは片腹痛いと考えて、「私を先生と呼ばないで」とアピールする占い師がいる。恥ずかしいからやめて!という理由もありますよね。先生と呼ばれて、有頂天になる人はたしかに多いです。また、呼ばれ慣れているとそれが普通になって、「なぜ先生と呼ばないんだ」となってしまう人もいます。

 結論的には、相手がどう呼ぼうが、それは相手の自由です。侮辱された感じで「センセー」なんて呼ばれるとなんだか嫌な気分になりますけどね。あと、尊敬されて本心から先生と呼ばれる占い師はちゃんとそれっぽい身なりをしています。

 普通のおっちゃん、おばさん、どこにでもいる兄ちゃん姉ちゃん、そんな雰囲気の人に対して、先生とは呼びにくいはず。独特な髪型をして、威厳のある衣装を身にまとうのは相談者やファンに対してのおもてなしなのです。


 医者の白衣や弁護士の記章と同じで、いわゆる権威性を雰囲気で示すアイテムです。占い師…その独特な世界で長く成功していくためにはこういうプロ思考が必要となります。

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