国会議員が「くん」と呼称されるその起源は吉田松陰にさかのぼる/コラム

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国会議員が「くん」と呼称されるその起源は吉田松陰にさかのぼる

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 国会中継を見てみると、男女問わず、議員を「くん」付けで呼んでいますよね。これがなぜなのか、あなたは知っていますか?じつは国会では議会の規制によって、「くん」付けで呼ぶことが決まっているのです。

衆議院要覧によると、議員は互いに敬称を用いらなければならない。参議院先例録には、議員は議場または委員会議室において互いに敬称として「君(くん)」を用いる、と書いてあります。ですので、衆議院も参議院にならって敬称として「くん」付けをしているのです。

 明治23年、日本で初めて行われた第1回帝国議会で、すでに「くん」が敬称で使われました。ただ皇族は「殿下」でしたが、それ以外の議員には、位に関係なく「君」と呼ばれています。これは、幕末に活躍した吉田松陰がきっかけでした。吉田松陰とは山口県の萩市にあった松下村塾(そうかそんじゅく)で、明治維新に活躍する若者を指導した教育者です。

 江戸時代は身分がはっきりしていました。武士、町人、農民と立場によって上下関係がきちんと決まっていたのです。そんな時代に吉田松陰が、若者たちに学問を教えていたのが長州藩(山口県)にあった松下村塾。

 この塾には、農民出身ながら初代内閣総理大臣となった伊藤博文をはじめ、2度も内閣総理大臣を務めた下級武士出身の山縣有朋や外国軍や江戸幕府と戦うために、騎兵隊を創設した武家出身の高杉晋作など、幕末から明治にかけて活躍し、新しい日本を気づいた若者たちが数多く在籍していました。

 松下村塾には、農民出身から武家出身まで、様々な身分の若者たちが集まっていました。そのため対等な立場で議論はずのときも、武家出身が農民出身には「殿」、逆なら「様」と、身分の違いで敬称が別れていたのです。


 そこで吉田松陰は、塾生同士を対等に議論させるため身分差に関係ない新たな敬称を考えたのです。それが「君(くん)」でした。どんな身分の者にも共通する敬うべき人物、それが「主君」ですよね。皆が「君」を付けて呼びあえば、対等な立場になるし、しかも相手に敬意も込められる。そして、複数の塾生に呼びかける時は、「諸君」という呼び方に決めました。さらに一人称の「僕」も吉田松陰が流行らせたのです。

 「僕」という字は「しもべ」とも読み、周囲に対してへりくだるという意味があります。そして明治23年の第1回帝国議会で、初代内閣総理大臣となった松下村塾出身の伊藤博文が「君」という言葉を使ったわけです。このように、呼称というのは、とても重要なのです。

 ちなみに占い師は、先生と呼ばれますよね。その理由を、次回に深掘りしたいと思います。

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