生命の成長サイクルを示す十干と時間や方位の概念である十二支
干支をはじめとして、陰陽五行や風水、易経などの自然哲学は、ぼくらの生活を豊かにするのが目的。季節の巡りや星の瞬き、月の満ち欠け、咲く花、旬の食材などを、暮らしの中で意識してみることで、幸せを運んでくるかです。
今年は「癸卯」です。
十干が「癸(みずのと)」で十二支が「卯(う)」となります。
十干は自然で構成されており、十二支は動物で構成されています。十二支の意味や起源については諸説ありますが、時間・方位・季節を示す十二支にそれぞれ12種類の動物が割り当てられています。十二支に動物をあてはめるのは、時間や方位の概念を簡便化し、民衆に取り入れ易くするためでした。
中国最古の王朝、殷の時代には使われていました。4000年前ですから日本は縄文時代でした。しかし、この12という数字はメソポタミア南部に興ったシュメール文明が発祥と言われています。天文学の基礎知識と言われているものの多くが、シュメール文明のころにはすでに発見されていた、と考える研究者は多いです。
古代シュメール人は、季節が一巡する期間中に、月の新月と満月が12回ずつ観測されることを知りました。また月の満ち欠けが【29.53日で一巡する】ことも彼らは発見したのです。もっと言えば、それを農耕スケジュール管理に利用したら微妙に季節がズレることも知っていたわけです。
たしかに月の満ち欠けは29.53日で巡りますが、実際の周期は27.32日です。
なぜ2.2日短いの?
というと、月が地球の周囲を廻る間に地球も太陽の周囲を公転するからです。
太陰暦の場合、月の満ち欠け29.53日×12ヶ月で354.36日。地球の公転周期は365.2422日なので、1年で10.8822日、季節のズレが生まれます。このズレを修正する目的で3年に一度、閏月(うるう・づき)を入れることで1年を13ヶ月にしたのです。
このように干支とは、生命の成長サイクルを示す十干と、時間や方位の概念である十二支を組み合わせたものなのです。10と12を順番に組み合わせていくと、6巡目で元に戻ります。12年×5=60年で、一周まわって最初に戻るので、干支は全部で60種類。つまり60年で一周まわって最初に戻るという『還暦』もここからきています。江戸時代まで、日本の1日は12刻で、十二支の動物たちは時間や方位を表す目印でした。
古代中国や日本の『数』にはとても神秘な力が宿っています。その根本は五行思想で、干支の組み合わせによってお互いを強めたり、弱めたりする関係性となります。強すぎや弱すぎだと大凶、いい感じに強いと大吉、ちょうどいいバランスは小吉、弱めだとやや凶、という具合になっています。
じつは、いいことばかりが続くのも悪いことが起きる兆しになります。反対に、悪いことばかりが起きるのも良いことが起こる兆しなのです。
神社仏閣にあるおみくじにも、この理論が採用されています。吉事がひとつあったら、次は軽めのトラブルが来て、次に、そこそこ楽しいことがあり、またしょうもない悩みが来る…この繰り返しが、この世の常だという考えです。
「身の丈にあった成功と幸福を求めていれば人はつねに最高なのだよ…」
という思想が陰陽五行なのです。
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