褒めて伸ばそうとしていますが、なかなか育たない、という相談
今夜、札幌ほしよみ堂のメルロさんとYouTube生配信します。札幌ほしよみ堂は7月7日でちょうど1周年。フランチャイズをやろうと思った動機、実際にやってみて苦労したことを赤裸々に語ってもらいます。
こちらがYoutubeライブ配信用のURLになります。
https://youtu.be/yl7Qt2zs0vs
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「部下は褒めて育てる」
これが昨今の人材育成のトレンドです。しかしながら積極的に褒めているけど、なかなか部下の反応は鈍い。
「褒めても成長しない」
上司が期待するような自分で考えて、自律する部下に成長していない…という悩みを、社長やマネージャーさんから相談されます。そこで、ぼくが長年やっているある方法を教えているのです。
ぼくは昔から部下を育てる時、ピグマリオン効果を活用しています。ピグマリオン効果とは、ロバート・ローゼンタールというアメリカの教育心理学者によって提唱された心理的行動です。
ピグマリオンとは、ギリシャ神話に出てくるキプロス島の王で、彫刻家でもあります。彼は現実の女性に失望し、みずから彫った像に恋をし、人間になることを願いました。それを不憫に思った愛の女神アフロディーテがその像に命を吹き込むという神話です。映画『マイ・フェア・レディ』の元ネタ、バーナード・ショーの戯曲『ピグマリオン』はこの伝説から書き起こした作品です。ちなみに、『教育期待効果』とも『ローゼンタール効果』とも呼ばれます。
たとえばあるスポーツチームがあったとします。そのコーチが選手に「君はもっといいプレーができる」と期待をすればするほど、その選手は努力をするようになりコーチの期待に応えるプレーをします。
逆に、ピグマリオン効果の反対が『ゴーレム効果』です。コーチが期待していない選手は成績が伸びることはありません。また、ピグマリオン効果に似ているものに『ハロー効果』というのがあります。似てはいますが、根本が違うのです。ピグマリオン効果は、期待する態度をとり続けることで実際に期待した通りにふるまい、結果に応えるという教育心理術です。わかりやすくいうと雰囲気がよくて顔が整った男性は仕事ができると感じてしまう感覚はハロー効果です。
使い方を間違えると悪影響を与えるリスクもあります。
たとえば、仕事の能力が高くて成果を出しているけれど協調性が低い社員っていますよね。もし彼の業績を過大に評価すると、人物面での評価も高くされてしまう。彼をマネージャーに昇格したらパワハラやモラハラを繰り返し、退職者が増えてしまった。そんな上司は、業務を時間内でこなし定時に帰る社員がいたら、「あいつは一生懸命やっていない」などと低評価を下してしまうかもしれません。このように人事の現場では、ハロー効果によるデメリットを把握しておかねばいけないのです。
部下を育てたいのなら、ある程度の裁量を与えること。「期待しているよ」と声を掛けつつ上司が細かく指示を出していては、信じて任せているとはいえません。過保護にならないで、裁量を与える場面では細かく指示を出さないのが有能な上司です。
ハロー効果はその人の特徴から全体を判断してしまう心理ですが、ピグマリオン効果は相手の期待に応えるために自分の行動を変えようとする心理です。ハロー効果は、評価エラーを起こしかねません。
ピグマリオン効果は、期待以上の成果を出す可能性があります。失敗してもいいので、自分で考えさせて失敗させて、それをあえて咎めない。でも、ちゃんと成果が出たら褒めるのです。能力や才能を褒めるのではなくて成果が出た時にだけ褒めるのです。人間の多くは偽善者なので、だいたい性格とか才能を褒めがち。でも人材育成の達人はそこが違うのです。
これを、ある社長に話したら黙って納得してくださいました。
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