桃(百)の節句と上巳の由来
おはようございます。
今日は3月3日。ひな祭り。
そして『名古屋ほしよみ堂』が生まれた日。
ちょうど5年前のことです。
いやぁ、おめでたいです。
続ける大切さを、ひとりで噛み締めています。
この4年の間に、メンバーは入れ替わりましたが、
根本的な理念は一貫しています。
なぜならば、永遠に変わらない信念があるからです。
今後は、今のメンバーを礎に、らなる増員を考えております。
さて。三月三日は雛祭りですが、
「桃の節句」とも言いますね。
五月五日の端午の節句が「男の子の節句」といわれるのに対し、
女の子の節句とされています。
ちなみに元々は節日に供する」として
『節供』と書くのです。
毎月の《句切り》を示すため、節句と書くようになったわけです。
ちなみに占術家は『節入り日』と使います。
さて、この節句。
江戸時代に『五節句』として、法制化された式日の一つでした。
しかし、現在の三月三日では、の花には早すぎますね。
ところが、旧暦でいえばヶ月ほど遅いので、
ちょうどよい季節なのです。
ちなみに今年ですと、4月21日です。
三月三日は、とは「上巳の節句」とか
「元巳」といわれました。
「上巳(じょうし)」とは
旧暦三月の上旬の「巳の日」という意味です。
ですから、三日ではありません。
今年ならば4月23日なのです。
また「元巳(げんし)」も同じで、
最初の巳の日という意味です。
なぜ『巳』の日だったのでしょう?
十二支での『巳』は、
植物に種子ができはじめる時期されます。
そこから、「いた種が実を結ぶ」つまり
才能の開花をイメージしました。
古来より蛇は、知恵や財産をもたらす神として崇められてきました。
祭祀の「祀」は、示す偏に「巳」ですよね。
この「祀」とは、然神を祀る意味なのです。
自然神の代表格が、巳(蛇)だったからです。
七福神の紅一点である「弁財天」は、蛇の形をした神です。
おそらく、そこから女性=蛇(巳)と連想したのかもしれません。
弁才天は、才能を引っ張る役目です。
それには「粘着性のある長い紐」が必要です。
また「巳(実)を結ぶ」にも掛けられています。
蛇の脱皮は「死と再生」を連想させます。
多産と豊穣を表し、お金に縁のある生き物とされました。
そんな『巳』が、三月三日になったのは
三国時代、魏(220-265)の国でした。
三月三日と「三」が重なることから
「重三(ちょうさん)の節供」ともいわれました。
上巳の節供に河で禊ぎを行い、穢れを落とす。
これを「上巳の祓(じょうしのはらえ)」といいます。
この文化が平安時代に日本に渡り、
貴族階級に取り入れられたのです。
河での禊ぎに変わって、
紙人形で体を撫でて穢れを移して川や海へ流す…
という行事が生まれたのです。
その紙人形を、形代(かたしろ)と言います。
これが「流し雛」の原型です。
この「流し雛」が、公家や上流武家の間で
上司への贈答品となりました。
質素だった形代が、豪華な人形になったわけです。
また、公家の子女が人形や小型の調度品を並べて遊ぶ
ままごとが発生しました。
これが融合して「雛人形」へと発展したのが、
室町時代といわれています。
さて、江戸時代になって、庶民にも桃の節供が浸透しました。
農民にとって、
桃の節供を過ぎる頃から秋の収穫期まで、農作業が続きます。
楽しみの少ない時代です。
これから始まる辛い労働に備え、
楽しみながら滋養を摂ろう…
ということで、
磯や砂浜で潮干狩りをしたのです。
旧暦の三日は大潮に近く、
潮干狩りにはもってこいの時期なのです。
現在でも、桃の節供に蛤を食べる習慣が残っています。
また、「貝合わせ」という
神経衰弱のようなゲームがあります。
蛤の貝は他の貝と一致しません。
そこから《貞操》をイメージしました。
蛤は水の汚れを嫌うので、《純潔》を意味すると考えたのです。
では、なぜ『桃』の節句というのでしょう。
それは「桃」が、暦三月を代表する花だからです。
中国では、恋愛のことを『桃花』と呼んでいます。
周の時代には、詩経の中で
「桃の花のような女性」とも謡われています。
ちなみに、桃は『百』に通じます。
中国では、もも(桃)の木を仙木として崇敬しています。
仙人のいる場所を「桃源郷」と言います。
日本神話では、邪気よけに桃の実を投げたり、
桃太郎の名としても使われています。
そんな桃が、
「邪気を圧伏し、百鬼を制する」
ところから、桃=百と結びついたのです。
おなじ桃でも、花は女性ですが、果実は男性を差します。
今日は長く書きすぎました。
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