遠慮によって、人間関係が崩れることもある
恋愛での悩みのほとんどが、
コミュニケーションの問題だと思います。
これは、鑑定を20年やってきて
いつも感じることです。
コミュニケーションについて考えるとき、
日本特有のマナーが影響します。
それが「節度」とか「節操」という感覚。
過不足なく「いい塩梅」に。
そして、できるだけ穏便に。
「調和」を大切にする、
日本人らしい考え方です。
対人関係では「謙譲の美徳」とも呼ばれます。
じつは、これがクセものなんですね。
本来、人間関係を
スムーズにするための「謙譲」の精神。
それが、いつの間にか誤解され、
コミュニケーションの障害になってしまう。
過剰な「遠慮」もそのひとつです。
「謙譲」と「遠慮」。
このふたつは、
似ているようでまったく違います。
多くの日本人は、
始めて会う人や、さほど親しくない人に対して、
遠慮しがちになる傾向があります。
自分の好みや気になったことを
できるだけ抑え、
相手に合わせようと努力する。
「遠慮」とは、
自己表現を抑える力のことです。
これがのちのち、
亀裂を生む原因にもなるわけです。
いくらガマン強い人でも、
自分をずっと抑え続けるのは難しい。
仮に努力の末、ガマンし続けても、
必ずどこかで歪みが生じる。
そのうちに、
「こんなにガマンしてるのに…」
というエゴが出てくる。
その結果、
相手や状況に対しての「不満」に変わる。
人間って「いい人」のままでは、
居続けられないんですよね。
そして不満を抑えきれなくなると、
突然キレたり、理由も言わず辞めたりする。
ガマンしてきた分だけ、
よけいに過剰な表現や行動をしてしまうのです。
で、周囲は、
「え、なんで?」
「いい人だったのに…」
となる。
場合によっては、
「嫉妬」や「恨み」に発展することもあります 。
このように「遠慮」するデメリットは、
かなり多いんです。
では本来の「謙譲」や「謙虚」って
いったい、どんな意味なんでしょう。
簡単にいうと、
威張らない自己表現。
さらにいうと、
自分を低く見せる表現のことです。
自分の意見を主張する前に、
必ず相手の意見をきく。
その上で、自分の意思を伝える。
これが「謙虚」であるということ。
「遠慮」と決定的に違うのは、
ちゃんと自分を表現する点。
ただ「相手が先」で「自分が後」というだけ。
たとえば、ぼくは、誰かと食事に行くとき、
「何が食べたい?」
と聞きます。
すると、
「何でもいいですよ」
と答える人が、けっこう多い。
でも、正確な本心ではないはず。
「なんでもいい」
と答える人の本心は、
「今すぐには思いつかない」
「候補を出してもらえると選べる」
「食べたいものはあるけど、
相手の好みと合わないかも…
だから相手の意見にあわせよう。
どうですか?
本心を聞いたところで、
別に失礼にも当たらないし、
腹も立たないはずですよね。
けれど、
「なんでもいい」
なんて言われてしまうと、
「選ぶのが面倒くさい」
とか
「あなたとの食事に興味ない」
という印象を受けてしまうんです。
もったいないですよね。
自分の意見を言ってしまうことで、
賛同を得られなかったり、
否定されることもあるでしょう。
でも、気を遣ったあげくに、
相手に不快な想いをさせたのでは、
本末転倒ですよね。
だったら、本心を言ったほうがいい。
「何か食べたいものありますか?」
と質問された場合、
「そうですね考えるのでちょっと待ってください」
「昼はカレーを食べたので、別のものがいいです」
こんなふうに、
答えのバリエーションはいくつもある。
それこそ「なんでもいい」わけです。
「とりあえず」という感覚で、
めんどくさがって返答したり、承諾しないで。
あとあと、負担にならないよう、
相手に敬意を払うことです。
無理はしちゃダメ。
けれど敬意は払って、
ちゃんと自己表現してあげる。
これが、健全なコミュニケーションなのです。
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