限られた時間と呪術的な発想
時間の管理が、
生きるうえでいかに大切か。
それは、
古代ギリシャの哲学者の言葉や、
「暦」の歴史が裏付けています。
では、なぜ人間が
そこまで時間にこだわるのか。
それは、絶対的な共通点があるからです。
人間に限らず、
生命あるものにとって、
避けられない宿命があります。
絶対的な共通点ともいえるでしょう。
それは、必ず
「死」が訪れるということ。
生きていられる時間は、限られているんです。
「そんなこと、言われなくても分かってるよ」
と思う人がほとんどかもしれません。
しかしですね。
意外とみんな気にしてないんです。
とくに健康な人は、なおさら。
不治の病にかかっていたり、
死にそうな経験したっていう
ちょっと特別な人なら別ですが。
たとえば、仕事の場合。
目の前の〆切りはすごく気になる。
でも、いま従事している仕事が、
自分の人生でどんな意味があるのか。
一生という限られた期間の中で、
それに費やす価値はあるのか。
そんなことは、あまり考えないもの。
逆に、それをちゃんと考えて、
かつ管理できていれば、
悩むことは最小限に抑えられます。
でも、日常を生きていると、
どうしても目の前のことに、
とらわれてしまいがちです。
すると、全体像が見えなくなる。
一生が限りあるものだなんて、
頭では分かってはいても、実感はしにくい。
そうして、つい、
無駄な時間を費やしてしまう。
昔から人は、
目先の出来事に流されがちな
人間の習性に気がついたんです。
だから、暦をつくって、
時間ごとに単位をつけ、
経過を記録できるようにしたわけです。
ちなみに、東洋の暦や占いの
基盤になっている五行(ごぎょう)は、
ありとあらゆるものを分類し、
整理するための法則です。
古くから、おまじないや
儀式にも取り入れられていました。
もともと、おまじないや儀式は、
天候や災害、病気など人間にとって予測不能で、
放っておくと不安な事物に対して使います。
そこに「五行」や「十干・十二支」
といった、一定の《法則》を取り入れることで、
正体を分かりやすくして、
不安を取り除こうとしたのです。
「時間」もこれと同じなんですね。
「十干(じゅっかん)」や
「十二支(じゅうにし)」は、
年や月日、時間を区切る単位です。
「時間」という漠然とした概念に
単位を使って、区切ったことで、
正体を明確にできるようにした。
正体がわかれば、不安も無くなる。
あるいは、限りある時間を
有意義に使うことができる。
なぜならば…
いつまでやる。
いつからやる。
そういった目標を設定しやすくなるから。
いわば、法則を使った暗示のようなものです。
現代における時間は、
年・月・日・時・分・秒と
細かく単位が付けられ、
管理しやすく整えられています。
でも使いこなせる人があまりに少ない。
だから、
「時間がない!」
という、漠然とした言い訳をするんです。
仮に、それを使いこなせたとしら、
「時間に追われる」
といった強迫観念が減るはずです。
そして、
「時間をコントロールできる」
という自信も生まれるんです。
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