変易と不易
偶然を使った占いのなかで、
もっとも完成度の高い世界観が
「易」であるといえます。
易占は、ひじょうに数学的です。
「陰」と「陽」というたった2種類の記号の組合せだけで、
世の事象すべてを表現するからです。
よくみると易という文字は、
「日」と「勿」という字から成り立っています。
勿は「月」が変形したものだと考えられています。
ここにも陰と陽の理論がみてとれます。
さらに易の字源を
「蜥易(せきえき)、象形(しょうけい)なり」
として、トカゲ類の象形ともしています。
トカゲは身体の色がよく変わることから、
易の字には「かわる」という意味があります。
変易(かわる)
不易(かわらない)
という言葉がそれです。
また、易簡(いかん)という言葉があります。
意味は「たやすい」です。
易は六十四卦(か)をもって
天地間のあらゆる事象を説明しているため、
複雑のように思います。
しかし陰陽の二爻(こう)に基づいて説明するため、
簡単明瞭……つまり『易簡』なのです。
天地間のあらゆる事象はつねに変化してとどまることがない、
すなわち『変易』です。
しかし、その変化のなかにも、変わらない法則性がある、
すなわち『不易』であります。
易は、この変易と不易とを、
象徴と数によってたやすく示してくれるのです。
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