先生と呼ばれるほどのバカでなし
世の中に「先生」と呼ばれる職業がいくつかあります。教師、医者、弁護士、そして政治家です。なぜ日本人はその職業の専門家たちを先生と呼ぶのでしょう?
日本人には、何かをしてもらう相手に対して「先生」と言ってへりくだる独特の文化があります。教師には教えてもらう。医者には治してもらう。弁護士には助けてもらう。では政治家には、何をしてもらうのですか?
答えは「稼がせてもらう」です。ある政治家が言っていました。「みんな金と権力が目当てで私に群がっているにすぎない」『先生と呼ばれるほどのバカでなし』皆さんはこの言葉をご存知でしょうか?
意味はふたつあります。まずひとつは、「先生と呼ばれていい気になるほど馬鹿ではない」というものです。そしてもうひとつは、「先生と呼ばれていい気になっている者をあざ笑う」、という皮肉めいたものです。
ぼくは経営者ですから、税理士や弁護士との付き合いが頻繁です。昔から税理士や弁護士には「先生」と呼称していますが、それは相手が年上か、ぼくよりキャリアが長い場合です。明らかに若い税理士や弁護士には先生と呼びません。かりに医者だったとしても先生とは呼ぶことはないです。その医者が、ぼくの体を執刀するのなら先生と呼びます。
しかし、ぼくの生徒であったりセミナー受講者の場合、その人を先生と呼んだりしません。ちなみに、かかりつけの漢方医に対してぼくは先生と呼んでいます。なぜなら、何度も病気を治してもらったからです。弁護士もそうです。助けてもらった弁護士には先生と呼んで感謝します。依頼もしていない、たまたま知り合った弁護士を先生と呼ぶことはありません。
ぼくの友人には、先生と呼ばれる職業が多いです。コンサルタント、塾講師や大学教授など、本を書いている人も一般的には先生ですよね。コンサルをお願いしている友人が2名います。彼らのことを、ぼくは先生と呼びません。コンサルをしてもらっていますが、年下ですし、キャリアもぼくより少ないので「Eさん」「Yさん」と呼んでいます。彼らも、ぼくのことをタカさんと呼んでいます。本を何冊も書く作家で講師業もやっているけど、対等だから「さん」が当然です。
友人の弁護士が、面白いことを言っていました。不思議なもので、同じ試験を通過した裁判官と検察官は「先生」と呼ばれず、弁護士だけが「先生」と呼ばれるんです。たとえ弁護士になった初日でも我々は「先生」と呼んでいただくことが多い。司法修習を修了し、弁護士として登録したその日から「先生」と呼ばれました。
最初のうちは自分が「先生」と呼ばれることに違和感がありましたが、日を追うごとに慣れてきました。 弁護士は、けして先生などではなく、法と事実を弁え、依頼者の権利を護る士(さむらい)である。という話を聞きました。「先生」と呼ばれることに慢心せず、依頼者の士となれるよう、日々精進しています…と。
なるほど、尊敬に値しますよね。そういう弁護士こそ「先生」と呼びたいです。さて、先生と呼ばれる職業を一覧で列挙してみました。
政治家・宗教家
マンガ家・小説家・作家
画家・彫刻家・芸術家
茶道家・華道家・武道家
作詞家・作曲家
教師、教授、講師・学者
税理士・弁護士
公認会計士・行政書士・司法書士
指導者・インストラクター
医師・歯科医師
整体師・鍼灸師
などでしょうか。
先生というのは一般的に教師や医者に対して使用します。しかし、時代劇などでは用心棒に対しても使われます。 悪徳商人が「ささ、先生、お酒でも」と切り出す。用心棒「うむ」というと、「ところで先生、おりいって頼みたいことがあるのですが」用心棒は「なんだ」と答える。すると悪徳商人が、「○○というものを斬って欲しいのですが」となるわけです。つまり、悪徳商人が用心棒を先生と呼ぶのは、難題を解決して欲しいからです。
医者も弁護士もそうですね。難しい病気を治してほしい、困りごとを解決してほしい、だから「先生」と呼んで優先順位を高めてもらうわけです。家庭教師をしている大学生も、親御さんから「先生」と呼ばれますよね。それは、この用心棒の例と少し似ています。自分の息子をどうしても有名大学に入れたい。「先生なんとかお願いします!」という気持ちの現れでしょう。
ところで占い師は、先生と呼ばれますよね。どうしてかというと…長くなりましたので、続きは次回に。